紅の翼の日常



AM7:00
カーテンの隙間からもれる明かりでその男は目を覚ました。
外は昨日のうって変わっていい天気のようだ。
寝癖のついた髪を直し、顔を洗い、着慣れたブルーウルフズローブを着込む。
彼の名前は「紅の翼」血盟INESS中期メンバーのプロフィットである。
本日はそんな彼の一日をリポートしたいと思います。

AM8:00
「おはよー姫ー」
アデンの少し奥まった場所にある宿屋。ここしばらくINESSの高レベル帯の連中が
たむろしている宿である。
「あ、おはよー翼ちゃんー」
既に朝食をとっていた盟主と数名の血盟員が振り返る。
彼の朝は、まず女性への挨拶から始まる。
「よく眠れた〜?」
そんな事を言いながらまず盟主のヨハネに、そしてその横に座るセイクレッドに、
その手をとり口づけてゆく。
されてるINESS女性陣ももう「慣れた」といわんばかりにふっつーに離した手で再び
茶碗やらフォークを持ち食事を再開する。。
次にターゲットにされた某国出身のTIAにはこれまた慣れた様子で頬に口付け、TIAもまた返し。
「オハヨ ツバサ」
そういった挨拶の本国出身のTIAはニコニコと笑い応えている。
その横の今日唯一の男性である猫はすっとばされ、さらにその横にいたイケガミの手をとる。
「・・・いつも思うんだけど、どうしてこの血盟はこの挨拶に全く普通の反応なんだろう・・・。」
そう数少ない一般人(常識人?)のイケガミが言うと斜め向かいに座る盟主、ヨハネは
鮭の骨を出しながら笑う。
「だって盟主がボクだよぉ?」
その言葉に横に座るセイクレッドが朝から酒のビンを傾けつつ頷く。
「コレが盟主じゃこのくらいじゃ驚かないわよ。イケガミくんだって今キスされても普通にしゃべってたじゃない。」
その言葉にコーヒーを飲んでいた手を止める。
「いや・・・最初は普通にコーヒー吹きましたよ・・・。」
その言葉に話の当人である翼は当たり前のように言う。
「綺麗な女性には当然の挨拶です!ねぇ猫さん?」
「えぇぇぇぇぇ?!」
「綺麗だって!セイクレッド聞いた!?ボクたち綺麗だって!!!」
「はいはい、社交辞令社交辞令。」
真っ赤になって焦る猫を尻目に、浮かれるヨハネの頭をポンポン叩きつつ
セイクレッドは翼にメニューを差し出す。それを受け取り開いている椅子に座ると
やがてエルフのウエイトレスがやってくる。
「ご注文はお決まりですか〜?」
その言葉に翼の目がキラリと光る。
「貴方で!」
そう言ってこれまた当然のようにその手を取る。
 ゲホッゴホッ
「あーっはっはっはっは!」
隣の隣に座る猫がむせ、二人のヨハネは爆笑している。
TIAにも今の言葉は理解できたらしく口元を押さえてクスクスと笑っている。
眉をひそめたウエイトレスにかまわず、翼は続ける。
「一目逢った時から好きでした!」
そうきっぱり言うとウエイトレスはその手をばっと離し、
少し離れたテーブルを片付けている別のウエイトレスをビシっと指差す。
「昨日はあっちの先輩に同じセリフ言ってましたよね?」
そう目だけ怒った笑いを残し、ウエイトレスはメニューを取らずに中へ戻っていく・・・。
「うぅ・・・振られちゃった・・・・。」
「や・・・やばい、マジでお腹痛いんだけど!!!ヨハネ、翼くんいつもこうなの?!
ひーーー苦しい〜〜〜。」
あまりハーディンの私塾から出る事がないセイクレッドは、その光景を見慣れてない為
笑いが止まらなくなって机につっぷしている。
これが彼の朝のよくある光景。


AM10:00
「じーさまお待たせ〜」
アデン南門で翼を待っていたドワーフのお爺さん、バウンティハンターのさま太郎爺ちゃんは
ようやく来たかという顔で翼を見上げる。
「ずいぶん遅かったのぉ。」
「いやー珍しくセイクレッドさん・・・血盟のオネーサマなんだけど
来てたから話が盛り上がっちゃって〜。」
その言葉に少し眉をしかめる。
「・・・また口説いてたんじゃな。」
「もちろん!w」
「・・・結果は?」
「もちろん!・・・・・シクシクシク。」
ため息ひとつ、
「さぁ城壁逝くぞ。」
それだけ言うと翼のローブの端を掴みずるずると引っ張ってゆく。
「爺さま行くの字が違う、逝くんかい!」

AM11:30
ヒーラーを兼ねているプロフィットの翼のMPが枯れかけ、木陰で休憩。
他愛のない話の最中、ふと翼が何かに気づき立ち上がる。
「どうした?」
そういって座ったまま見上げるさま太郎じいちゃんに翼は
笑って「ちょっと」と言って手を振る。
「・・・なんじゃ、トイレか。」
そう言いながら近くのアクティブMOBの位置を確認しようとすると。
「やだー、ほんとー?」
「ほんとほんと!さっきから気になってたんですよ〜。
こんな綺麗なおねーさんなんて滅多にいないし天使が舞い降りたのかと思った!」
「褒めすぎー。何も出ないよー?」
少し離れたところでナンパ開始中の翼の姿。
「・・・・・・」
黙ってその様子を見ていたお爺さんは小さく溜め息と共につぶやく。
「・・・・今日はソーサラーさんか・・・。昨日はスペルシンガーの嬢ちゃんだったかな・・・。」
遠い目と共にお爺さんは、一人スポイル花火を打ち上げた。

PM14:00
遅めの昼食の為、一度アデンに帰還して手ごろな食堂に入る。
イタリアンの洒落たカンジのレストランを選んだのは翼のセレクト。
もちろん。目当ては決まっている。
「おねーさんたち自分たちと一緒しませんか〜?」
後から入ってきた席を探す様子のエルフの二人組みの女の子に声をかける。
「どうする?席ないしお邪魔させてもらっちゃう?」
「そうだねーせっかくだし〜いいですか?」
「どうぞどうぞ☆さ、こちらへ♪」
そう言いながら翼は二人の椅子を引く。
「わ、ありがと〜。お爺ちゃんもごめんね?お邪魔させてもらっちゃって。」
そう声をかけるエルフ女A。
「ん、気にせんで。ほれ、メニューどうぞ。」
      〜15分後〜
「やだーーお爺ちゃんおもしろーーーい♪」
「あの・・・・・」
「そんな事ないじゃろ。」
「またまたぁ〜☆あ、お爺ちゃんこっちも食べる〜?」
「それじゃ頂こうかね。」
「はいアーーーン」
・・・・主人公はどこにいった?

PM15:00
友人たちに呼ばれ、傲慢の塔にやってきた翼。
「じーさまひどいっすよ!自分だけ女の子たちとアドレス交換してるなんて・・・・」
「教えろと言われたから教えただけじゃ。ところで待ち合わせはここか?」
アデン側から塔の内部への入り口へと歩いてきた。
顔を上げると先に到着していた友人数名が2Fへと続く階段で座っている。
「やっときたわね・・・」
ゆっくりと立ち上がるシリエルの女性を先頭に、女性テンプル、
男性グラ、女性エルダ。
・・・女性率高くない?
「エンチャ、私たちは固有だけでいいのかしら?」
エルダーの質問に翼はウインクしながら答える。
「もちろん!自分に任せてくれていいよ♪」
女性率の高さに上機嫌で翼はエンチャを開始する。
「A tool de rizahan lilic・・・!Ricken shanai gonoan Zapian・・・」
「Estea yaiyaku say the Paian・・・」
「Naoein Yakumias yakkpeace Naiamentel・・・」
翼がかっこよく見える数少ないこのシーン。
ラストにキメポーズで完了させクルっと振り返ると
「あれとあっちがアクティブじゃ、あのへんはノンアクのはずじゃて。」
「OK、リンクしたら引くからスリそれまで待ってて?」
「分かったわ。無理はしないで。」
 打 ち 合 わ せ 中 ☆
「ううううううううう。」
「あ、エンチャ終わった?ありがとー」
「ヴァファリーン」
「それじゃ行くわよ!」
うちしがれる暇もなく狩り開始。
人数とメンバーのレベルの関係で1Fでまったりと安全を考慮して
狩りを始めたわけ・・・・・・・だが。
「ローブ痛いっすねーやっぱり〜〜〜」
「・・・・え・・・FA取ってるし・・・・・;;;;」
本日初対面のエルダーが必死でヒールをしながら呟くと
翼のFAしたモンスにヘイトをしながらテンプルが笑う。
「翼くん、いつもだから。好きにさせておきなwwww」
「そのうち逝けばやめるじゃろ・・・。ヒールせんでいいから。」
本人に超聞こえる位置でスポイルを打ちながらさま太郎じいちゃんも同意の言葉を零す。
当の本人は
「じーさま聞こえてるって!綺麗なおねーーーさんに愛のこもったヒールをしてもらいたいから
わざとケガしてるんだって。ね?」
などと言っている。
その行動の為MP回復に座りつつヒールとリチャをするシリエルがそんな翼に
サクっと言葉を吐く。
「どうでもいいけど翼くん。ブレス忘れてるわよ。」

しばらくそんな狩りをしていたが、さすがに危険だという事で
他メンバーから止められ渋々FAを諦める翼。
そして狩り再開。
「えーおねーさん彼氏いないのぉ?そんなに可愛いのに〜?」
「え・・そ・・そうかな?あ、ヒールしなきゃ。」
「もったいないよぉ〜自分貴方みたいな人だったら大歓迎だけどなぁ?」

「(ヒール詠唱中)」←聞いてない。

「今晩一緒にお食事でもどう?夜景の綺麗な所知ってるんだw」←それでも続行

・・・・・FAか後衛をナンパしかないのか・・・・?


PM9:00
PTを終え、宿に戻るかと思えば荷物だけ置いて再び街に出る翼。
もちろんその目的は・・・・
「おねーさん一人?よかったら自分と飲みませんか?」
小洒落たバーでナンパ。
「なぁに?おごってくれるのかしら?」
既に酔っ払ったエルフの女性を口説きにかかる翼。
「もーちろん♪こんな綺麗なお姉さんを一人で飲ませるなんて
男として有り得ません☆」

〜二時間後〜
「だぁ〜ら、最近のプレインズは辛いの〜分かるぅ〜?」
「は・・・はい・・・・。」
「パッチだかクロニクルだか知らないけどぉ〜たーーいへんなんだってばぁ」
・・・結局こうなるんですね。


AM0:00
ベロンベロンに酔っ払った女性を送ってから自分の泊まる宿への道を急ぐ。
途中で 道端でゴスペル歌いながら踊るセイクレッドとヨハネとTIAを目撃したのは
気のせいだろうか。
「ん・・・?」
宿に近づき暗がりの中、ドアの傍に寄りかかるよく見知った姿を発見した翼は
若干早足になりながら近寄る。
「・・・随分遅かったじゃん。」
「心細かった?w」
「・・・別に寂しくなんてなかったもん。早く中入るよ。風邪引いちゃう。」
そう言いながら手を引かれ翼は笑う。
「そうだね、キョーコ」










☆あとがき☆
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・最後かっこよく書きすぎたぁぁぁぁぁっぁあ