翌朝。そんな二人の予感は的中する。
「ワタシ エレメンタル ナリマス!」
ポカーンと口をあける5人。
「エ・・・エレメンタル・・・・・?」
「ハイ! エレメンタル サマナ!」
無邪気に笑うTIAとあーあという顔をするラズとくおん。
ぽっかーんと口をあけたままの猫とヨハネ。
TIAは分かっておらず、ニコニコと本を持っている。
「ユニコーン カコイイ デス!」
どぉしようと思いつつ
「TIA・・・エレメンタル ダメ  ムリ。」
そうヨハネがおずおずと言うとTIAはしょんぼりと首を傾げる。
「ドシテ?ワタシ ヨワイ ダカラ??」
「NONONONONONO。」
慌てて首を横に振る。そして指でちょいちょいっと本を貸してっと合図するとそれを受け取り
ページを開く。
「TIA ハ DE ダカラ。ミテ?」
とりあえず隣に座らせて、DEの項目を指指す。そしてその分岐をなぞってみせる。
ラズとくおんが席を立ち、猫が椅子を寄せてくる。
「ココ ダークウィザード ネ?」
「ハイ。」
「ダークウィザード ハ  『ファントム サマナ』『スペル ハウラ』ダケ。」
そう言ってその顔を見る。
「・・・?」
「エレメンタル サマナ    ハ   Elf ノ ウィザード  ダケ」
「ワタシ ムリ?DE ダメ?」
「YES。」
ようやく理解したという風に考え込む。
「ファントム ナニ?サモン ナニ?」
「あ、えーと・・・・写真があったような・・・あーこれだこれ。ココ。」
写真のページを開きそこを指差す。少ししてから顔を上げる。
「コレナニ。」
「な・・・ナニというと・・・?」
「・・・バケモノ???」
この頃から、TIAのバケモノというのがモンスターを指すというのはなんとなく分かっていた。
・・・が。果たしてサモンシルエットをモンスターと同類扱いしていいものか・・・。
いやそんなに間違ってはいないような気はするけど一応味方なわけで・・・
「ファントム サマナ  イショ タタカウ。」
横からくおんが口を出す。その言葉にヨハネもうんうんと頷くと。少しして
「・・・スペル ハウラ  ナニ?」
と首を傾げる。今度はハウラーの紹介ページを開き見せる。
「ナニ マホー?」
「風と闇魔法・・・ってどう説明すればいいんだろ・・・・。」
ラズリとくおんで向き合って悩み始める。既に言語系さっぱりな猫は見ているだけになっている。
「・・・えーと。TIA、 アナタ コトバ  エスパニョール???」
そうヨハネが聞くと首を横に振る。
「ポルトギューズ。」
そう言われて少し考えてからヨハネが切り出す。
「スペルハウラ  ベント ト エスクリーダオ の マホー ツカウ。」
「Vento?Escuridao???」
「あれ・・・違ったかな・・・・。」
困ったように口元に手を当てるヨハネ。
「ポルトギューズ??? アナタ コトバ  ワカル??」
その言葉にあってたかとほっとする。
「チョト ダケ  デス。」
そう笑って答えると後ろからラズが髪を引っ張る。
「ヨハネさん分かるの?!」
「伊達に6ヶ国語飛び交うとこでバイト長くしてないよっ単語のちょっとくらいはなんとかなる。」
そんな会話を日本語で会話しているとTIAが顔を上げる。
「スペル ハウラ ワタシ ナリマス!」


こんなわけでTIAの意思はスペルハウラに固まったわけだが。
ただでさえ長い上やる事こまごましているウィザード系クエスト。
・・・・・日本語も英語も読めない(英語は少しだけ分かる)彼女にとっては果てしなく大変なクエストとなるのである。