「クラハンしよう!」

それは、ヨハネのそんな思いつきで始まった。

 

 

   月の光、悪夢にさえも祝福を

  *この物語はクランINESS(5月14日時点の血盟員)を元に作ったフィクションです。

   その為、登場人物と実際の人物は関係ありません。

 

 

「またいきなりですね・・・。」

その夜は、ギランのいつもの溜まり場になっている名品館前の木の下で

ヨハネ、猫、イケガミ、巖摩、TIA、翼で月を見ながらのんびりしていた。

それぞれ酒やらジュースやらを持ち寄り、セイクレッドから預かったと名品館の

おじさんから渡された団子を食べ、のんきに雑談してた際のヨハネの思いつきだった。

「クラハンいいね〜wレイド討伐とかしたい!」

スペルハウラーのイケガミ、プロフィットの翼、それぞれの意見を聞きながら

ヨハネはいまいち乗り気じゃない様子のイケガミとダークウィズの巖摩の前に立つ。

「レイド討伐はレベル差のばらつき考えると無理としてもDV久々に突っ込むのはいいかと・・・w」

そう言っておおはしゃぎで話すヨハネにトレジャーハンターの猫は口のダンゴを飲み込んでから答える。

「イサカ?」

「うんwイサカw」

若干マイブームは去ったとしてもいまだ、イサカにやたらに愛着のあるヨハネの言いそうなことなど、バレバレだったようだ。

「私ソロが好きなんですけどね・・・・。」

そう一気にテンションの下がる発言をするいけぽんを見て、少しの間。ヨハネはいけぽんの前にしゃがみ、下から見上げ、声色を変えて目をうりゅうりゅさせる。

「いけぽんヨハネの事きりゃい?」

「あ、いやそういうわけじゃ。」

「ヨハネと一緒に狩りに行くのイヤ?」

「あの・・・。」

「そっか・・・・あの夜の誓いは嘘だったのね・・・。」

「えーと・・・。」

「あたしの事は遊びだったのね?!シクシクシク・・・・。」

「・・・・・・」

そう、わざとらしく泣きまねをしてからチラッといけぽんを見ると少し頭を押さえてから

「勘違いしないでくれ!今でも僕は・・・君の事を・・・っ!」

そう見るからにわざとらしく言う。

「きゃーーーーいけぽん愛してるぅっ」

「はいはい」

そういいながら飛びつくヨハネをなだめる。

「はいそこ、公衆面前でレズってんじゃないの。で?あの子たちどうするの?」

巖ちゃんに止められその辺でやめておく。

「あの子達?年少組の事?」

そう聞くと再びつっこまれる。

「だからそういう変な言い方しないでよ。ドラゴンバレーってどこだかしらないけど

ヤバイんでしょ?」

そう言われ猫たちと顔を見合わせる。

「ヤバイ・・・のかなぁ・・・お兄ちゃんとあたしはDVC入り口前までソロできるし

翼ちゃんといけぽんもサーバントあたりまでいけるよね?」

「いけますねー」

「ね?だから大丈夫。みんなに集合かけよう!」

そう言ってわいわいさわぐ。

「テイルくんとあさっち、セイちゃんには、がんちゃん連絡お願いね?」

「場所は?」

「来週の土の日・・・お昼ごろにギラン回廊三又に集合かな?」

「OK、黒猫ちゃんもあたしが行くわ」

各自、伝達係を決める。INESSのメンバは本拠地、レベル帯、ばらつきが

激しいため、誰かしら走り回らないと全員に連絡がつかない。特に最近、セイクレッドの

帰郷に付き合って島まで行ってきたヨハネが魔法学校卒業したての子たちを引き込んで

きたものだから、ディンと島のメンバーはレベル帯の近い巖摩が走らされることになる。

「とら吉さんは?誰が行く?」

「オノエルに行かせるよ、この後オノエルとも会うから。」

「なるる。」

猫の問いにヨハネは簡潔に答える。

そんな会話をヨハネの隣に座っていたTIAが首をかしげて見ていた。

「ボス?ナニ?ハナシ ナニ?」

スペルハウラーのTIAZINHA。どこかの種族の生き残りらしくいまだにアデン語が

カタコトでダークエルフなのにカワイイところのある彼女。今までのやりとりが早すぎて

聞き取れなかったのだろう、ヨハネのスカートの裾を引っ張る。

「コンド、ミンナ、イッショニカリイキマス。TIA モ キテクレル?」

そう言うヨハネに笑顔を向ける。

「ワタシINESS、ワタシ イッショ イキマス!イツデツカ?」

「ツギ ドヨウ ダイジョブ?」

「ハイ!」

なぜか同じカタコトで話すヨハネに素直にうなずく。見た目はナイスバディな割りに、

表情はまだ幼い。

「あ、ヨハネさん、あっちのヨハネさんは?どうする?」

今度は翼ちゃんの質問。あっちのヨハネとは、通称「セイクレッド」のプロフィット

のヨハネ・パブテスマの事だ。どちらも名前がヨハネの為呼ぶときに困る。

「セイクレッドのいるとこなら分かってるからお手紙出しておくよ〜来るかは別に

してね・・・」

セイクレッドの気まぐれさはクラン員もよく知っている事だ。つい先日、クルマの塔で

何かしていたと思ったら翌日島に現れるような放浪ぶり。ヨハネの話によると

その前はドラゴンバレーの奥地でスースーの死体を担いで

「今夜のおかず。こいつの鍋にするから。」とか言ってたらしい。

今まで、クラハン

やらに一度も参加してない割りに全員会ってはいるという。

今日も名品館に立ち寄り団子を預けてるところをみると単に

自由気ままなだけでINESSが嫌なわけではないよう

だが、付き合いの悪さはINESSでトップだった。

「キマエラにはお兄ちゃんから連絡しておいてくれる?ギランにも出入りしてるみたいだから見かけたらあたしからも言うけど。」

「ラジャっ」

軽く敬礼を真似る。

 

そこでその夜は解散になった。みんなは各自宿屋に戻ったが、ヨハネはそこ

に座ったままだった。

「いい月だなーほんと〜・・・・」

ぼーっと月を見続ける。INESSの由来である月の女神イネス。

ヨハネにとって、子供の頃から月は特別な存在だったから。

ふと、ジンジャーエールを起き、腰の二刀を月に掲げる。

「相方・・・あたしは夜の月に本当になれると思う?いつか、君が生まれ変わって

戻ってくるまでに、あたしは本当の意味でINESSの柱になりたいと思うよ・・・。」

そんな風に、独り言をつぶやいたりしてると背後から人の気配がする。

「ヨハネさん、そろそろ戻らないと風邪引きますよ」

「ん。もう戻るよ。」

振り向かずに腰に剣を戻す。立ち上がり、声の主が差し出したテカメイルを羽織る。

「行こう、来週までにもう1レベル上げる。明日から忙しいよ〜♪」

そんな言葉に微笑む副盟主にデスブレスソードを押し付けヨハネはその前を

走り出した。




















オノエルからの一言。


猫お兄ちゃんのジェンロルマン計画の為に出番のなくなったオノエルです。
今回の小説はあくまでフィクションになっております。
実際の猫おにいちゃんはこんなにかっこよくないのでご注意ください。