「ヨハネ。」

ソバの生地をこねてると後ろから声をかけられ、セイクレッドは振り返った。

「なに?今手離せないわよ?」

けげんな顔でその家の主に横柄な態度をとる。

「手紙がきておるぞ・・・どいうかナニをしているんだ・・・?」

主は横からセイクレッドのこねる生地を覗き込む。

「ソバよソバ。この前アデンで食べたじゃない。あれの粉、オノエルが持ってきて

くれたから作ってみてんの。たべるでしょ?」

そういいながら再び体重を乗せつつこねる。

「この物体がソバになるのか・・・・・?」

明らかに疑う顔で見られてセイクレッドは不機嫌な顔をする。

「ナニよ、私の腕が信用できないわけ?とりあえず邪魔だからあっちいっててよ。」

そういわれ、主はやれやれという顔をして手紙をテーブルの横に置く。

「お前あての手紙はここにおいておくぞ。」

「はいはいさんきゅー」

聞いてるのか聞いてないのか分からないような返事をして、再びソバに集中する。

その後、この手紙の事を彼女はすっかり忘れるのだが、それが大問題に発展するとは

このときは全く予想などしていなかった。

 

 

「INESSクラハンINドラゴンバレ〜〜〜〜〜!みんな拍手ぅ〜〜」

「わー」

「はぁ〜い」

数名の気のない返事(そして数名は返答すらなし)を無視して、ヨハネ・スリエルは一人

はしゃいで「いぇい」などと浮かれている。

結局この日集まったのは 9人。ヨハネ・猫・TIA・いけぽん・翼・キマエラ・巖摩・レッドテイル・

そしてあさっち。INESSの集合にしては集まった方だ。

ただ、同じ宿屋に泊まっていた猫といけぽんと翼は朝も早くからヨハネの絶叫で叩き起こされた

わけだが。

「ヨハネさん〜エンチャ始めてOK〜?」

「お願い☆」

翼の言葉に浮かれたまま各自補助魔法の詠唱に入る。

Est a yai ac sea dapian(水の精霊よその守りを)」←“フリージングスキン”

E anai deshana ziephan(戦いを司りしその力、我が言葉に従え)

Rikishana gonoa ziephan(風よ盟約の元我が言葉に従え)

A tallde rizhana riric(光を与えし偉大なるものよ目覚めよ)

            ・

            ・

            ・

A anai de shana riric(戦いを司りしその力、今、目覚めよ)!

・・・・こんなとこかな?」

キマエラと分担をしつつも大量のBUFFをかけ終わり、翼は一息つく。

「ありがとぉ〜☆」

フリージングスキンだけかけてちゃっかり座っているヨハネが下から手を振る。

「バーサクいれちゃったけど大丈夫?」

気がついたように言う翼に親指を立てる。

「もちばち( ̄+― ̄)b これがなくちゃ始まりませんからw」

「狩りはこのくらいリスキーじゃないと・・・。」

ヨハネの後ろからいけぽんもつぶやく。

「あーたしなーんにも訳に立たないみたいねぇ〜」

「エンチャがあるだけで幸せ・・・・」

「アリガトウ」

若干気に入らない様子のがんちゃん。情けないセリフを吐く猫、

にこにこ笑顔で頭をさげるTIAの後ろであさっちがきょろきょろしてから

ナニやらテイルくんにコソコソ話して、ヨハネの方に向き直る。

「ヨハネさん、セイクレッドさんはやっぱりこないんですか?」

あさっちの問いに回りを見回し苦笑する。

「まぁ・・・こないとは思ったけどねぇ・・・・」

まさかこのとき、話題のセイクレッドさんがあんな場所であんなことをしているなんて

誰が思いついただろう・・・・。

 

 

「ハーディンそろそろオーブン止めて〜。」

「はいはい・・・・ってなんで私がこんなことを・・・・」

古代語でかかれた本を片手で読みながらナベをかき混ぜ顔を上げずに答える。

「今、ティータイムのお饅頭を焼きながら晩ご飯のスープを作っている。だけど本がいいところで

手が片手しかあいてない。貴方がここに立っていた。そんなの親でも使うでしょ〜。」

本をわずかにずらし、アクをとり、火を止める。

「ねぇハーディンここの訳は?ここここ。」

指で指し、本を向ける。オーブンから出した焼き饅頭をテーブルに置き、ミトンをはずし、

それを見やる。

「ああ、海のことだ。前後の文を総合すると悪魔の島のあたりの海域の事だろうが

その後の文が私にも分からないままで・・・」

re fely dhi dzakens ・・・・eda suriel ol luna・・・・ああ・・・なるほどね・・・。」

本を閉じてにやっと笑う。

「やっと見つけたわ・・・・」

「なにがだ?」

「フーフフフフフ秘密よ♪さてお茶に・・・・」

そこまで言って急に振り返る。

「どうした?ヨハネ。」

「・・・・あの子達・・・何かの祭りかしら・・・?」

そう少し首をかしげてからハーディンの問いには答えずにピーピー鳴り始めたやかんを火から

おろす。

 

 

「うわあああああああああああああああああ」

「テイルくんストップ!危ないから!!!」

「レッド後ろ後ろ!!!」

riki shana gopnoa! rirc!!!!!!」←ドライアドルーツHM詠唱

「ティア!!!!」

rikme yakme yakkepeace!」

naon sha meo vihit・・・・!

Ne vala nokia・・・・・・riric!!!!!」

無邪気に走りだし、大量の骨を引っ掛け逃げるテイル君に叫び、
あさっちがテイル君を後ろに隠し
ヘビーソードを構えたところで
キマエラと翼ちゃんがルーツをかけおわる。

TIAが詠唱を始め、にらみつけた最初の骨にいけぽんとヨハネが続けて詠唱に入る。

ヨハネの詠唱が終わる寸前、ヨハネの脇から飛び出した猫が二匹目にデッドリーをかまし

翼ちゃんがほぼ同時に二本のカタナで切りかかる。

後ろでがんちゃんがテイルくんに一生懸命ヒールをしながら「手がかかるわねぇ」などと

嬉しそうに言っている。

その場が片付き、とりあえずほっとする。

「危なかったね〜テイルくんじゃあと一発もらったら南無〜だったよ〜」

のんきに言うヨハネにがんちゃんのツッコミが入る。

「師匠!!!超危ないじゃないのここ!!!」

「だーいじょうぶだって〜まだまだこの辺は軽い軽い・・・。」

「そうじゃなくってあたしたちには早いって言ってるの!!!」

「まだこの辺は大丈夫だって。イサカ様はもうちょと先だよ?」

「無理無理無理無理無理無理!!!」

まくしたてるがんちゃんにのんきに答える。その様子を見てTIAがヨハネの服の

すそを引く。

「ボス ケンカ ダメデス   ミナ  ナカヨク シマショ」

「ほら、TIAもそう言ってるし。年少組は中に入れて進めば大丈夫だよ〜。

兄貴、後ろ守ってね。」

「それはいいけどヨハネさん、やっぱりやめた方が・・・」

「守ってね?」

必殺下から上目ずかいでにっこり笑って黙らせる。

「・・・はい。」

後ろで小声で

「これで何人だまされた事か・・・」

といけぽんがつぶやいたのに気づいた人はいたのだろうか。

 

 

月の光、悪夢にさえも祝福を

その2

今シリーズの出番の削られたオノエルさんから一言。

こんにちは。オノエルです。
そば粉はアデンのアクセサリー商人さんから買えます(嘘。

今回、スキル詠唱調べるのに付き合ってくれなかったいけぽんさんの代わりに
詠唱を見せてくださったsocietyさん。本当にありがとうございました(ペコリ
言われるまでHPにカキコしてくださった方だと全く気づかなかった
とぼけたスリエルおねえちゃんの代わりにお礼申し上げますです^−^

ではまた第三話でお会いしましょう・_・
この物語はフィクションでお送りしておりまーす.....(((((ノ><)ノ