Rikin shanal gonoan・・・・・・・ ririct・・・・・!」

が、イサカの槍があさっちに届く事はなかった。目の前で止まった槍先を見つめ冷や汗を

浮かべながらもすぐに剣をおろし先ほど引き倒したテイル君の腕を掴み後ろに下がる。

 

特徴のある訛りのある詠唱呪文。この状況下でも余裕たっぷりな声。

イサカにしっかりとかかったルーツを見て、顔を上げるとそこにいたのは見慣れた奴だった。

「なんとか間に合ったみたいね・・・。」

デーモンローブを揺らし、デスブレスソードを肩に乗せ、片手を腰に当てイサカの

後ろの崖上から見下ろしにやっと笑ってから飛び降りる。

「セイクレッド?!」

スカートの中が見える事なんてお構いナシで飛び降りる彼女に青い光が巻きつく。

「えでぃんサンキュ。」

そう呟き、飛び降りながら律儀に一発イサカの頭にケリを入れてから反動で降り立つ。

「せいくれ・・・」

ヨハネが呼びかけると有無を言わさず怒鳴りつける。

「座りな!池上君とTIAちゃんも!猫くんもよ!キマエラくんも座ってなさい!」

そう叫ぶと目の前のイサカにまっすぐに視線を向け、挑発するようなしぐさで微笑む。

「悪いけど、この子達に手出されると困るのよ。」

そう言うと剣を掲げ、呟く。

ストライダーに乗ったままほとんどの補助魔法をかけおわしてはいたが

最後に残った補助魔法。

Isheva hla hatariya riric」

バーサーカースピリッツ。真っ赤に染まった目を開き、迷わずに突っ込む。

「裏切る気かパブテスマ!」

そう叫ぶイサカに笑いながら答える。

「裏切る?私はただ貴方のご近所に住んでるだけよ。それに悪いけど。」

イサカの槍を真正面からデスブレスソードで受ける。風圧で髪が揺れ、左耳のピアスが光る。

「あたしもあの子達と同じINESSの・・・月の女神の守護者。」

そう言うと槍をなぎ返す。

「貴様・・・・!!!」

「先に手を出したのが゛揺り篭゛なのはわかっているけど今更謝っても引く気はないでしょう?」

ギリギリでかわしつつもわずかにかすめた左腕から流れる血も全く気に留めないで微笑み

切りかかる。

 

「セイクレッド タスケ マス!」

そう言って立ち上がろうとするTIAの腕を掴み、ヨハネは首を横に振る。

「ドシテ?ボス ドシテ  ダメデスカ?!」

TIAの言葉にヨハネは静かに手を引く。

「イマハ マダ」

首を傾げるTIAに繰り返す。

「セイクレド  ダイジョブ  イマ  ガマン」

そう言うとセイクレッドのヒールに回っていたテイルくんと翼ちゃんの方に目をやる。

「カタカタ・・・!翼ちゃん!!!」

「え?」

「それ!その二刀!!!セイクレッドに投げて!!!」

翼ちゃんはきょとんとして自分の手の剣を見つめる。

「両手の武器ならセイクレッドの本気が見れる!!!」

 

 

「もう少し稼ぐつもりだったけど間に合わせ品の片手剣じゃきついわね・・・」

「自分のヒールで手いっぱいというカンジだな!パブテスマ!

それで私をどう倒す気だ?!」

切りつけてはバトルヒールを繰り返すセイクレッドにイサカの高笑いが気に障る。

「うるさいわね!女に手出す時点でマイナス40ポイントなのに

さらにせっかちな男はマイナス30ポイントよ?!」

全く緊張感のないセリフを吐きながら明いた手で目にかかる血を乱暴に拭く。

「セイクレッドさん!!!」

その言葉に振り返ると宙を舞う剣にすぐ気づく。

Rikin shanal gonoan!! ririct!」

ルーツの呪文を放つと後ろに飛び、デスブレスを地面に突き立て宙を舞った二本のカタナを

スカートを翻し、両手に取る。

「やはり逃げるかパブテスマ!!!」

「だー!うるさい!すぐ相手してやるから少し黙ってな!」

軽く二刀を振り回し、にやっと笑うとそれを眼前に構え、静かに息を整える。

「パアグリオ様、お父様、お爺様、お婆様・・・」

わずかな間、黙祷すると逆手に持ち直し再び突っ込む。

「爪が理想だけど・・・あんた相手ならこれで十分だわ!」

今回出番のないオノエルさんからのコメント

はい!とうとう出てきました影の主人公!小説のご都合主義炸裂キャラ!
設定資料に「世界最強(いろんな意味で)」と書かれてるセイクレッドおばちゃんです!
今回から曲もおばちゃんのテーマ(一之瀬さんごめんなさい)に衣替えです!
補足設定公開。
 バツ1で子供はナシ。お父さんはデストロイヤー。お母さんはビショップ。
父方のおじいさんもデスト。おばあさんはタイラント。
別れた旦那はグラディエーター

その5