「・・・ヨハネさん・・・」

「なぁに?いけぽん」

「セイクレッドさんって一体・・・・・。」

座ったまま、戦闘中なのにその場だけなんとなくのんきな空気が流れ始めたところで

いけぽんが口を開く。

目の前ではセイクレッドが淡い光を放つカタカタを逆手で振り回し、

「タイラント志望のプロフィ甘く見てもらっちゃ困るわね!」

などと叫びながら翼ちゃんとテイル君のヒールを背に受けている。

「翼さんのカタカタヘイストついてるのは知ってますがそれにしても早くないですか・・?」

自己エンチャでのヘイスト1+カタカタOPヘイスト。しかし、それを考えても

セイクレッドの攻撃速度は明らかに速すぎる。

「・・・セイクレッド見た目はお母さん似だけど、あの性格含めその他はお父さん似だからね・・・」

「はぁ。」

気の抜けた返事をしつつ目の前をみやる。そんないけぽんの横ではTIAが心配そうに

祝福spsを握り締めセイクレッドを見つめている。

「そろそろかな・・・・」

ヨハネはそう言いながら祝福spsの残りを確認する。

 

「・・・そろそろいいわね。」

セイクレッドはそう呟くと右手のカタナをイサカに投げつけそれを取りに走りざま

自分の額に自分の血で何かの古代文字を一字書く。

そしてイサカがはじいたカタナをその手に戻すと少し前に地面に突き立てた

デスブレスソードの位置に戻り小声で呟く。

「大地の精霊、風の精霊、水の精霊、火の精霊、日の神、月の女神、我が声に応えよ。」

「逃がすかパブテスマァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」

そう叫び追ってくるイサカをまるっきり無視してその場だけ空気の流れが変わる。

「この血を証とし、今、パブテスマのヨハネの封印を解き放て!」

迫るイサカに目線をわずかに向け今度は二本のカタナを突き立てデスブレスソードを

まっすぐ構える。

Rikin shanal gonoan・・・・・・・  ririct・・・・・!」

先ほどまでのルーツとは明らかに様子の違う力がイサカをとりまく。

それにイサカが気づく間もなくセイクレッドの怒鳴り声が夕暮れのドラゴンバレーに

響き渡る。

「ヨハネ!!!!!!!」

「行くよ!Ne vallan nokian!riric!!!」

セイクレッドの声に応えるようにイサカの頭上に雷が落ちる。

続けて二つの竜巻が畳み掛けるように彼を襲う。

「何?!」

ヨハネ・いけぽん・TIAが祝福spsを叩き割りながら次々に詠唱を繰り返す。

「まさか本気で私が貴方を倒そうとか考えてると思っていたのイサカ?」

安全な距離まで離れ、先ほど書いた血文字を拭う。

「なんだと・・・・ぐっ。」

次々と襲ってくるハイドロブラストとハリケーンを受けつつイサカはセイクレッドをにらみつける。

「私はただの時間稼ぎ。あの子達の魔力が回復さえすればあとは決して外れないルーツで

その場に止めてしまえば終わりよ。」

「なん・・・だと・・・?」

「貴方が邪神の力を持っていてよかったわ。神聖生物の血でルーツしとけは30分は絶対に

外れない。ってゆーか私が単身で貴方に勝てるわけないじゃなーい。」」

腹の立つ笑いを振りまきつつセイクレッドはスカートの埃を払う。

その間にも3人の魔法詠唱は止まることなく続く。

「勘違いしてるみたいだから教えてあげるわ。私の血は邪悪に対して絶対力なわけじゃない。

あくまで比例した力しか使えないのよ。つまり。」

まっすぐにイサカを指差しゆっくりと目を閉じる。

「貴方が強ければ強いほど、私には勝てない。」

そう言って優しく微笑んだ瞬間。ルーツがはずれイサカはひざをついた。

「貴様・・・・・。」

「今度生まれ変わったら友達になって酒でも飲みましょう。貴方のおごりで。」

その言葉に呆れたのが呆然としながらイサカは天を見ながら倒れて行く。

「アンタラス様・・・私の命を・・・・・・・・・。」

 

激しい音を立て、イサカが沈黙。やがて白い煙になって消えると小さくため息をついてから

飛び降りてきた崖の上を見上げる。

月の光に逆行になってストライダーに乗りこちらに手を振る2人に親指を立てて見せると

やがてストライダーは闇へと消えてゆく。

「セイクレッドぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉl!!!」

「ぎゃっ」

後ろから飛びついてくるスリエルに前のめりに倒れそうになり、悲鳴をあげる。

「ありがとぉぉぉおおぉぉぉお。」

「痛い痛い痛い痛い!!!私大怪我してんのよ?!死ぬ!死ぬ!死ぬ!!!」

ぎゃーぎゃー騒ぐとみんなどたどたとセイクレッドに集まってくる。

「セイクレッドさん!」

「あー翼ちゃん魔力ある?私空っぽなのよ。ヒールお願い。マジ痛い。」

翼ちゃん、テイルくん、キマエラのヒール詠唱を受け多少痛みの治まった腕を軽く動かす。

「大丈夫ですか?」

猫に差し出された包帯を受け取りなぜか血をふく。

「あ、翼ちゃんカタナアリガトネー助かったわ。」

そういいながらデスブレを脇にかかえカタナの血を払う。

「いえ、でもヘイストつきとはいえよくあそこまで・・・。」

「あぁ、私父方オークだから。普通のヒューマンより若干たくましいのよ。」

そんな会話をしてる間にもヨハネはセイクレッドにひっついたままである。

「ごめんねぇごめんねぇ・・・。」

「だーもう。分かったからヨハネ。離れなさい。怒ってないから、揺り籠がこんな事で泣くんじゃないってば。」

そう言って苦笑する。

「あぅ〜〜」

「私に謝らなくてもいいから。・・・手紙すっかり忘れてた私も悪いし・・・あさっち怪我ないかい?」

そう言ってヨハネをぶら下げたまま振り返る。

「はい大丈夫です。」

「うん、君は男として立派だったわよ。」

そう言って笑って見せる。

 

こうして夜の深まるDVを後にして一行はギランへと食事に向かったわけだが

その話はまた別の話し・・・・。

 

 

 

 

 

今回出番のないオノエルさんからのメッセージ

締まってないよ!おばちゃん終わり方おかしいよ!続くってまだ暴れるつもりなの?!

え、何?風谷おばちゃん。・・・・・・・  ・・・・・・Σ( ̄□ ̄;)

待って!おのえる主役って言うのも間違ってるけど何?!この「INESS on the 飲み会」

って!?ギャグでも問題あるって?!え?えぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・(フェードアウト

 

月の光、悪夢にさえも祝福を