オルちゃんです。
本名は「オノエル・J・オルディウス・オルフェウス」です。
さて、今日はオルちゃんがどうしてB20血盟に入ったのか
そんなお話をします。

「あんたまで付き合う事ないのよ?」
この人はセイクレッドおばちゃん。ヨハネおねーちゃんがいなくなってから
INESSの盟主代理してるプロフィットさん。
オルちゃんが6歳の時からのお友達。
年がいもなくよく暴れるおばちゃんだけど
おねーちゃんがいなくなってから少し大人しくなったです。
「別にオルちゃん付き合ってるつもりはないよー?
オルちゃんもヨハネおねーちゃんとまた逢いたいもん。きっと帰ってくるし。
そう思ってるからおばちゃんも盟主代理やってるんでしょ?」
オルちゃんがそう言うとおばちゃんは遠くを見た。
「私には・・・まだやるべき事が残っているから。」
そう言いながら左肩の刺青を抑える。
ヨハネおねーちゃんがいなくなってから入れた刺青には
何か理由があるみたいだけど話たくないみたいだから
オルちゃんはまだ知らないです。
でも、多分おばちゃんがあれからぜんぜん年とって見えないのは
きっとそれのせいだと思うです。
「うー?」
考え込むおばちゃんの顔を下から覗き込むと少し笑ってくれた。
「っていうかあんたさ、いつまで子供フリしてるのよ。」
その言葉に首を傾げる。
「オルちゃん8歳だよ〜?」
「外見は・・・でしょ。あんたと知り合ってもう20年近くたつのに
全く変わってないじゃない・・・・。つか2歳しか増えてないってどうなのよ」
呆れたように昼間から酒のビンを傾ける。
「おばちゃんそれ人の事言えないじゃん。」
その隣でぶどうジュースを飲む。
「はぁ・・・・。」
「ふー・・・。」
二人して息を吐く。おねーちゃんがいなくなってもう随分長い時間が
経ってるのは分かってる。
ヒューマンなのに年取らなくなったおばちゃんは異端視されちゃって
神殿の人がうるさくてあんまりギランにいられなくなった。
それでも毎月二人して昔みたいに名品館の木の下で
こうやってお茶(おばちゃんはお酒だけど)を飲んでいた。
最初はINESSの人とか、おねーちゃんに理由もなく追放された人とか
それがどんどん減って、今はもうおばちゃんと二人。
時々来る人はいるけどこんなに時間が経ってもまだおねーちゃんを
覚えてくれてる人がいるだけで、オルちゃんはすごくうれしい。
「時々・・・さ、私がしている事が無駄に思える時があるのよ。
過ぎた時間は戻らない。そう思えて。」
「それは誰でもそうだと思うよー?だからオルちゃんは止まったんだもん」
「止まった?」
「思い出とか、過去とか、そゆのにしちゃったら迷っちゃうから
だからオルちゃんは止まったの。8歳のまんまにしたの。」
「なるほど・・・ね。」
「いっぱい考えて、いっぱい悩んで。オルちゃんドワーフだし、
おかーさんDEだし見た目成長しないだろうからいっかーって。」
「またいい加減なノリ・・・・」
「おばちゃんに言われたくにゃい。」
ごきゅごきゅ
くぴくぴ

「・・・・あのさ、オル。」
「なぁに?」
「・・・悪い意味に取らないで欲しいんだけど。」
「なになに(・_・?)」
「・・・・・INESS脱退して。」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


「なんで?!どして?!」
オルちゃんがそう言って立ち上がるとおばちゃんは
やっぱりそうきたかという顔をする。
「だから悪い意味にとらないでって言ったのよ。落ち着いて聞きなさい。」
「だったら先に説明してってば!」
おばちゃんの事だから何か考えがあるのはオルちゃんでも分かりゅ。
でもいきなり「INESS脱退して」なんて言われたらいくらオルちゃんでも
びっくりするです。
「んー・・・あんたさ。今職なに?」
「ぅ?すかべんじゃぁ。」
おばちゃんの突然の質問に首をかしげながらも答える。
「スカに転職したのっていつ?」
「うーんと・・・かなり前・・・かにゃ(・_・?)」
その言葉に少し溜息をついてから話を続ける。
っていうか人前で溜息をつくのは失礼だからよい子は真似しちゃ
だめだぁよ(・_・?)

「・・・かなり前じゃなくてもう15年以上経ってるわよね。」
「そだっけ(・_・?)」
「そうなの。・・・で、『アイツ』を待つのはあんたの勝手だからいいんだけど。でもいい加減に転職すれば?」
そう言いながら酒を飲む。
「ぅー・・・・でもでもぉ・・・・」
「あんた、アイツいなくなってからレベルいくつ上がったのよ?」
そう言われて考えてみる。
そもそもオルちゃん今レベルいくつだっけ(・_・?)
「んーとんーと・・・・・ふたっつ?」
「つまり15年以上の間レベル25→27にしかなってないわけだ。」
別にオルちゃん遊んでたわけじゃないよ?!
ちゃんとね、荷物運びのバイトしてお金貯めてただけだよ?!
確かにこの前スタンアタックのやり方忘れちゃってるのに気づいてちょっと
びっくりしちゃったけど昔のおばちゃんみたいに
飲んだくれたりとかしてないからね?!
「・・・ソダネ。」
「でーバイトに明け暮れてる理由はなんだっけ?」
「・・・・おねーちゃん戻ってきた時もちっといい装備させてあげたい・・」
「確かに63のスペシンでドムにデスブレスってのは辛かったでしょうね。
哀れむ気持ちも分かる。あんたは偉いよ。うん。」
そう、空になったビンを横において次のお酒のビンをおばちゃんは開ける。
「・・・・でも一つ思ったんだけど。」
「ぅーなぁにー。」
少し膨れながら言ってみてもおばちゃんはお酒片手に話を進める。
「・・・あいつが戻ってきた時。あいつの装備グレードあげてやるってマジで言ってるんだとしたら。」
「オルちゃんはいつでも本気だもん。」
そういうとおばちゃんは分かった分かったという風に手を振ってから
傾けていたお酒のビンを下ろした。
「だったら。先にあんたのレベルあいつに追いついた方がいいんじゃない?」
言ってる意味がよく分からない。
「あみゅ(・_・?)」
「人から物もらうのあいつ嫌いだったし。そこに養子とはいえ自分の娘が
・・・しかも自分より40近くレベル下のDグレドワから援助とか・・・・

絶対受け取らないわよあいつ。」

「た・・誕生日プレゼントって言うもん!」
「あんたあいつの誕生日知ってるの?」
「・・・・・・」
「知るわけないわよね。そもそもあいつの誕生日って最初に神殿に拾われた日だもの。」
「ぐー・・・・じゃぁ日ごろの感謝のお礼!」
「20年も消えたまんまなのに?」
「お・・・おかえりなさいプレゼント!」
「まず最初にあいつから謝罪プレゼントで着き返されるわね。
だったらバウになって狩り付き合ってやる方が喜ぶでしょうが。」
そういわれて困ってしまう。
「オルちゃん暴力反対・・・・。」
「鈍器と槍振り回して死体あさるスカベンのセリフとは思えないわね。」
「オルちゃん体ちっちゃいから火力ないしぃ・・・」
「体ちっこいのは関係ないと思うけどその時点でヴァッファーの存在無視してるわよね。」
「・・・・怪我したら痛いしぃ・・・。」
「ヒーラーの存在も無視なわけね。」
おばちゃんはまた深く溜息をつく。
「だからなんでソロ限定の発想なわけ?」
そう言われて考える。オルちゃんはあんまりPTってした事がないです。
クラハンも、レベルが低いのであんまり行かないです。それに・・・
「だって!だって!昔おかーさんが生きてた頃、知らない人についてったらダメって
よく言われたもん!!!!」
知らない人についてっちゃだめ。つれてかれそうになったら大声を出す。
オルちゃんはちっちゃい頃おかーさんによく言われたです。
「・ ・ ・あんたのお母様生きてた頃って私らと会う前じゃない。
っていうか5歳とかそのくらいの頃の話でしょ?」
そう言っておばちゃんは苦笑する。
おばちゃんもおねーちゃんも、お母さんが死んじゃった後に逢ったです。
おかーさんがもう帰ってこない、それを教えてくれたのがおばちゃんたちだった。
二人があの時ドワ村に来てくれてなかったら、怒ってくれなかったら
きっとオルちゃんはまだタダ働きしてたか過労でノタレ死んでたと思うです。
「うん。そだよ(・_・?)」
「・・・・あんた本当に言わなきゃ20年近く生きてるとか絶対信じられない生き物ね本当に・・・・。」
呆れた様に言われてオルちゃんもむっとした顔になるです。
「だって売られちゃったり埋められちゃったりするっておとーさんたち言ってたもん!」
「・・・・ドワ村そんなに治安悪くなかっただろうに・・・そもそも『オノエルの揺り篭』誘拐出来る奴
いるのかしら・・・・。」
携帯灰皿を出しタバコに火をつけながら言うおばちゃん。


 【オルちゃんの一言劇場】
   オル「喫煙者のみなさん!お外でタバコを吸う時は携帯灰皿を持って、立ち止まって吸いましょうd(°-^*)⌒☆
      歩きタバコは歩いてる子供に怪我させちゃったりで危ないよ(・_・?)
      喫煙者のマナーだよ(V^−°)」
セイクレッド「煙草は労働者の特権だと思うけど。親の金で吸ってる連中今すぐバイトでもして自分の金で吸いな。
       ・・・しかもポイ捨てとかする奴らいるせいで私らまともな喫煙者の立場まで悪くなんのよ。
       街中でそういうおっさんとか見ると捨てた吸殻頭にこすり付けて焦がしてやりたくなるのよね本当。」
   オル 「お・・・おばちゃんは実在してないからやれないけどこれ書いてるの中の具だからね!
       そんなとこに遭遇したら中の具にやられるからね?!みんな気をつけてね?!」

   中の具 「・・・あたしゃ見えるように自分の携帯灰皿に拾うくらいだよ・・・。その後斜め45°目線で見下して・・・」




  ※本編に戻ります

「まーーーとにかく。野良嫌だって言うなら狩りつれてってくれるような血盟でも探しなさい。
んで、あいつ戻ってきた時にまだINESSに戻る意思あれば再加入すればいいわ。」
煙を吐きながら言うおばちゃんにオルちゃんはケフケフしながら言い返す。
「でもでもぉ!」
「別に脱退しようと別に加入しようと、これ持ってる限りはINESSなんだからいいじゃない。
あいつならそう言うわ。」
そう言って自分のピアスを見せる。オルちゃんもおんなじの持ってるです。
でも耳に穴開けるのは怖いのでペンダントにして服の中です。
「ぅー・・・・。」
「別にあんた抜けても毎月私はここにいるし。用あるならハーディン家くればいいだけだし。」
「ぇー・・・・。」
「っていうか毎月茶飲んでるだけなんだから抜けても書類上しか変わんないわよ。」
確かにおばちゃんの言う通りだけど。おばちゃん1人INESSの旗守らせるのが嫌で。
でもそんな考えも予想されてたみたいで。
「今の・・・誰もいないINESSなら私1人でも守れるわよ。護るわよ。
あんたが修行してる間くらい・・・あいつの帰る場所は私1人でも護れるわ。」
そう言いながら右手で煙草を、左手でお酒を飲んで少し笑って見せた。
「世界を見て、そして世界の広さを知りなさい。あんたはまだ何も知らなすぎる。」






そんなわけで。時刻は15時。オルちゃんは現在グルーディオにいるです。
今日はバイト用のローブじゃなくて倉庫にしまってあったブリガンセットを着てるです。
武器はなかったのでギランで探したんだけどボーンブレーカーがなくて
とりあえずグレイブを買ってみたです。
オルちゃん今まで槍って持った事なかったので急いでスキルを教えてもらいに行きました。
でも、グルーディオについてから大変な事に気づいたです。
「ぅぁ・・・・槍じゃソロできにゃい・・・・。」
困りました。よく使い方も分かってない槍でソロはいくらなんでも怖いです。
PTメンバ募集を探してみました。

・・・・ありません。

「どしよかなぁ、今日はもうバイトに戻ろうかにゃぁ・・・。」
「すみません。」
突然声をかけられてオルちゃん振り返ったです。
「あみゅ(・_・?)」
「突然ごめんね、ちょっとお話いいですか?」
声をかけてきたのは爽やかなカンジのダークエルフのおにーさん。
「なぁに(・_・?)」
そう言って見上げるとにこにこしながらそのおにーさんは名刺をくれた。
「私はある血盟で盟主をしている者なんですが血盟に興味はありませんか?」
そう言われておばちゃんの言葉を思い出す。
『血盟の紋章らしきもの何もつけないで村とか野良PTフラフラしてれば勧誘だけは腐るほどされるわよ』
おばちゃんの言う通りだったよ。でもオルちゃんまだ戦闘装備でグルーディオ来て1時間だよ。
「あのねぇ、オルちゃんねぇ、血盟は入ってないんだけどね、いつになるか分からないけど
いつか戻る血盟があるの。ふくめーしゅのおばちゃんに『世の中見て来い』って言われたです。」
「ふむふむ?」
「だからね、それでもいーよって血盟じゃないと入れないです。」
簡単に説明したです。黙ってて騙すようなのはオルちゃん好きくないです。
「私は構いませんよ?でも合う合わないはあると思うのでよかったらこれから貴方と同じくらいの
レベルの血盟員と出かけるんですが一緒にどうですか?」
おにーさんは爽やかな笑顔をキープしたまま言ってくれたのでついてってみようと思ったです。
オルちゃん8歳だけど8歳じゃないからそろそろ人についてってもいいんだっておばちゃんも言ってたです。

おにーさんが他の血盟員の人たちと一緒に狩りにつれてってくれたです。
その時よく見て気づいたけどおにーさんはブレードダンサーさんで
ヘイトでモンスターさんを集めてはオルちゃんやHFの血盟員さんの所に戻ってきてくれて
オルちゃんたちは一生懸命殴ったです。
でも時間があんまりなかったのですぐに解散になってしまったです。
「どうでしたオノエルちゃん?」
村に戻っておにーさんに聞かれて少し考えるです。ぅーぅーと考えてると
おにーさんは察してくれたらしく笑ってくれたです。
「今すぐ決めなくても大丈夫ですよ、考えてみて、よかったら入ってくれれば^^」
「ありがとうです」
ぺこりんと頭を下げるとおにーさんは笑いながら「またね」と帰っていったです。
考えてみればINESSの人以外で狩りに行くのは初めてだし、バイトのお客さん以外とか
おねーちゃんのお友達以外でお話したのも初めてだった気がするです。

「こんばんわぁ〜」
そのままオルちゃんは遅い足でてくてくがんばってギラン方面まで歩きました。
夜も遅い中走っていると通りすがったオラクルさんらしき人がWWをくれたので
いつもよりちょっと早く走れたです。
「こーんばーんわぁ〜」
入り口でもう一回叫ぶと人が出てきたです。
「こんばんわ、どうされましたか?」
出てきた人は知らない人だったけどここの人なら大丈夫です。
「夜遅くにごめんです。オノエル・J・オルディウス・オルフェウスと言います。
ヨハネス・パブテスマさんいますか(・_・?)」
多分ハーディンさんのお弟子さんだと思われる人にそう伝えると少し待ってるように
言われ、キョロキョロと周りを見ながら待っているとすぐに戻ってきたその人に
中へと案内される。
「ヨハネスさん、おかわりいただけますか?」
「いいわよー。たくさん食べなさい。味どう?」
「これすごく美味しいです!」
「そ、よかった。他におかわり欲しい人いたら言ってよ?」
中から楽しそうな声がするです。
ハーディンの私塾の晩御飯がこんなにほのぼのしてるのは
ちょーっと空気に合ってない気もするけどここは気にしないです。
だって居候してるのがあのおばちゃんだもん。
「ヨハネスさん、お連れしました。」
中に入りお弟子さんが言うとお玉を持ったままおばちゃんがこっちを見たです。
「いらっしゃいオル、そこ椅子出しといたからすわりなよ。飯まだでしょう?」
オルちゃんもまいぺーすだけど、このおばちゃんには勝てません。
「ハーディンさんお久しぶりです(ペコリン)」
「ああ、久しぶりだね。気を使わなくて構わないよ。座りなさい。」
「じゃぁお言葉に甘えるです。」
時々思うのだけど、ハーディンさんはすごく心の広い人だと思うデス。
だってこのおばちゃんとこんなにうまくやっていける人ってあんまりいないと思うデス。
「もぎゅもぎゅ・・・おばちゃんこのお肉なぁに(・_・?)初めての味・・・」
「ぁ?不味い?ハーブで煮込んでみたんだけど。」
出されたお皿のスープのお肉が不思議な味がしたです。
ちょと筋ばったカンジがあるお肉です。
「んーん、オイシイよ(・_・?)でも食べた事ないカンジのお肉ダネ。」
「そりゃそうでしょー。こんなの次いつ手に入るか・・・。」
得意げに言うおばちゃんにハーディンさんも不思議そうな顔を向ける。
「さっき帰ってきた時に担いでいた肉だろう?何なのだこの肉は・・・。」
その言葉におばちゃんはすごくえっへんって顔して言い放ったです。

「アンタラスのしっぽ。」

『?!!?!?!?!?!?!?!?!』

「ギランで調度討伐隊帰ってきたとこでさ。失敗したんだか成功したんだか知らないけど
とりあえずしっぽが戦利品で出てて、だーれも買わないとかで揉めてたから
2Mで持って帰ってきたのよ。」
当たり前のように言うおばちゃん。でもお弟子さんもオルちゃんもハーディンさんも
手が止まってしまったです。
「どうしたの?」
「よ・・・ヨハネス、一つ聞くが毒抜きはしたのだろうな・・・?」
ハーディンさん、最初にそれを思いつく貴方はやっぱりすごい人です。
「当然。別に誰も倒れてないじゃない?」
「そ・・・それもそうだな・・・。」
そう聞いてしまうとこの料理は美味しいけどでんじゃらすな食べ物に見えてくるです。
「どうしたの?不味いなら無理して食べなくてもいいわよ?」
そう言いながら自分のお皿のスープを平気な顔でおばちゃんは食べる。
オイシイから問題なんだよ・・・不味かったら遠慮なくスプーン置くんだよ・・・
というかオルちゃん何しに着たんだっけ(・_・?)