(設定上ヨハネsacredの本名は「ヨハネ・パブテスマ」で神聖生物(ビショップ一家)の家系の長女です)




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本当は全てどうでもよかった。自分の血筋なんて知ったこっちゃなかった。
ただ、気づいた時には魔法学校に入れられてて、クレリックの転職試験
申し込みされてて、回りもみんな勝手に・・・そう私の意志など考えもせず
母の後を継ぎビショップになるんだろうと思い込まれていた。
・・・・私の意志も願いも夢も・・・誰も尋ねもしなかった。
・・・・私は別にパブテスマの当主になるつもりなんて全くなかったのに。
・・・ビショップなんてそんなめんどくさい、人の命背負い込む職業なんて
やりたくなんかなかったのに。


実際問題、兄弟の中でパブテスマの血を一番色濃くついでいたのは私だろう。
同時に一番やる気がなかったのも私だ。魔法学校で成績がよかったのは
ただの血筋の力。私の力なんかじゃない。
 学科がよかったのは本を読むことも歴史調べる事もキライじゃなかっただけの話。
・・・誰も気づいてなどいなかったが。
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露出の多い服はせめてもの私の反逆行為だった。
母も母方の祖母も当たり前のようにブレスドだの青狼だのいかにも
聖職者なローブを着ていたし。 魔法武器なんぞ持つ気もなかった。
魔力貯蓄量だとか詠唱速度だとか、そんなコトよりいかに火力を上げるか
私の興味はそれだけだった。


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クレリックになってから・・・いや本土に渡ってからあれこれ理由をつけて
真面目に狩りなんてほとんどしなかった。修行もしなかった。
酒を覚えたのもこの頃。父がいつもうまそうに飲んでたのを覚えていたし、
何より自分の体にこれほどしっくりくる飲み物が他に見つからず
昼間は図書館にこもり、夜は飲み歩き。金に困れば飲み比べしたり
BUFF屋で金稼ぎ。 ルックスで結婚もしたけど結局うざくなってすぐ別れて
(あのグラ今何してんだろ・・・ろくな男じゃなかった・・・)
そんな生活を私は何年していただろう。

母からの説得の手紙なんてこなくなって4,5年たっていた。
弟たちの近況なんて全く知らなかった。
 どうでもよかったんだ。
 だから私はパブテスマを名乗る事なんて本土に渡ってから一度もしてない。
 歴史書を読み漁るコト、明らかにつじつまの合わない論文をあざ笑うコト。
 自分の血を汚すように酒を飲み、タバコをふかし、酔っ払い相手に暴れて
 そんな生活に満足しているつもりだったから。

そう、20代最後の夏。あの夜。あの女に逢うまでは。



飲み屋の帰りに通りがかった処刑場。
変な女がいた。
二刀を持ちながらフレイムストライクをぶっ放し
大穴にたまったアンデッドを燃やし尽くす、まだ若いエルフの小娘。
「何をしてるの?」
そう聞いた私に悲しそうに
「ゾンビのまんまじゃ生まれ変われないでしょ?かわいそう・・・」
そう言う変な女。
本当に変な女だと思った。
こんなアンデッドだらけの場所で可哀想だからという理由だけで
こんな夜中まで魔法を打ち続ける。しかも二刀で。
WIZで二刀ってどうなのよとつっこめば
「これは相方だから。」
とまた意味不明な返答。
 変なものに興味を持つ自分の性格を自覚したのはこいつに逢ってからだった。
それから飲み屋の帰りにはいつもそこを通ってた。
そして毎日その女はかわらずそこにいて。
 私たちは少しづつ話をするようになった。



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「ボクは月になりたいの。月はいつも暗闇を照らすから」
「それは太陽の光を反射してるだけで・・・・」
「うん、そうだよ?たくさんの人の思い、それが太陽の光。
それを受けてボクは暗闇を照らすの。」
アデン語勉強しなおせよと何度思ったか知れない。
女のクセにボクと言い続けるわ、言語体系むちゃくちゃだわ。
「月はただ、見つめるだけ。太陽と違って植物に力も与えられない。」
そう微笑みながら言って月を仰ぐ小娘。だったら何も意味なんてない、
そう言う私に首を振る。
「でも何も否定しないの。誰の存在も否定しない。全て受け入れる。
そして月はボクを救ってくれたの。だからボクは月になるの」
さっぱり分からなかった。正直「はぁ?」って思ってた。
ただ、それ以上にこの女に興味が沸いたのも事実だった。


血・束縛・反逆・・・解放〜sacredモノローグ〜