怒られて再び泣く。ため息をつくとその緑のおっきいの・・・

オークさんはあたしを担ぎ上げ悲嘆の廃墟の外へと連れ出す。

崩れた門のところに降ろすと無言で水筒を差し出され

クンクンと匂いをかぐあたしに無感情に言い放つ。

「ただの水だ。血でもなければ怪しい薬も入ってないぞ。」

そう言われて少し飲んで涙を拭く。

少したってあたしが落ち着いたのを見てからその人は話始めた。

「オークを知らないとは・・・どこの田舎モノだ・・・」

「話せる島から昨日本土に来ました・・・。」

「なるほどな。オークっていうのは遥か遠きエルモアに村を持つ・・・」

「えるもあ???」

「・・・・・」

話しても無駄だと思ったのか話を変える。

「で、お嬢ちゃんはこんな所で何をしていたんだ?サメドの依頼というわけでは

なさそうだが。」

「転職の試練でサラマンダーを探していたんです・・・。」

そういうと首を傾げる。

「サラマンダーって炎の精霊か?」

「ですです。」

「・・・・お嬢ちゃん・・・それ悲嘆じゃなくて絶望じゃないのか・・・?」

Σ( ̄□ ̄;)

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・お世話になりました。」

立ち上がり、ペコリと頭を下げて歩き出そうとする。

「待て。」

そう腕を掴まれよろける。

「何かの縁だ。付き合ってやろう。お嬢ちゃん名前は?」

「ヨハネです。ヨハネ=スリエル・・・・。」

「俺はカムイだ。ひとまずグルーディオで情報を集めよう。悲嘆も広いから場所を特定

した方がいい。」

こうして、あたしの転職に一人目の協力者が加わった。(しかもとても強力)

 

「本当にありがとうございます・・・。」

「気にするな。オークは情に厚い。」

そう会話をしながら村へと歩く。話しているうちに『オーク』というのはヒューマンや
エルフと同じように5大種族の1つだと言うことを知った。

見た目と違って話してみると普通にいい人ですぐに懐いた。と

やっとカムイさんに慣れた辺りで声をかけられる。

「ヨハネさん?!」

振り返ると数少ない友人の姿があった。

「あ・・・猫さん!久しぶり〜」

島でしばらく見ないと思っていたらもう本土に来ていたんだ〜と思ったが

「転職した?」

との言葉に

「ううん、今試練してるとこ〜。」

と答えるとそこから早かった。

「あ、じゃぁ俺も手伝いますよ。お、くおん。おみゃーも来い。」

と、あたしたちの横をつつーっと歩いて通りがかったHMの腕を掴む。

「え、何、転職?」

「そそ」

「いいよ。」

こうやって成り行きでさらに協力者が二人増えたのだった。

 

「クエ経験者がいるなら楽だな。」

「んーでも記憶適当ですよ〜」

「がんばれくおん!お前が頼りだ!」

「えー。」

のん気にしゃべりながら絶望の廃墟へと入る。

悲嘆と同じくおどろおどろしい場所ではあったが人数が多いせいか

そんなに怖いとは思わなかった。

経験者のくおんさんの道案内とカムイさんと猫さんの護衛で

わけもわからないまま言われたとおりに炎の証を手に入れ、次の目的地である

荒地を目指す。

 

「次ウインドシルフって言われました?」

「あ、はい。」

「猫道覚えてる〜?」

「あー多分w」

そんな風にのん気に話していると、目の前に一人の女の子が現れた。

「PT OK?」

「・・・・え?」

DEの女の子。年はあたしよりは上くらいだと思う。

返答に困っていると

「PT OK?」

と再び小首をかしげながら言う。

「アデン語分からないのかな・・・」

「中華・・?」

「PTって転職クエしてるしな・・・」

各自がぼやく。

「ワタシタチ イマ Job Quest  NO hanthing

そう、どこかの国の言葉を混ぜつつ話すとコクリとうなずく。

「OK。PT」

その上目遣いの様子が妙に可愛くて4人目の協力者が増える事になった。

 

「目玉お化けいたあああああああああああああ」

「よし。最後だけ残すから殺れ。」

「ワタシ ナニスル?」

「最後だけヨハネに。」

「OK」

そこからはもう、本当に嵐のような勢いで試練をクリアして行った。

手元には炎・風・水の精霊の証。あとは最後に残った大地の証のみ。

 

アーススネイクを探しに再び悲嘆の廃墟へと向かう。

「確かこっちの方だったはず〜」

「それなら俺も見たぞ。」

くおんくんとカムイさんのナビにてくてくと着いてゆく。

ふと、DEの少女・・・TIAZINHA(ティアジンハ)が口を開く。

「コレ イツ スル?」

どうやら転職の事を言っているらしい。レベルを聞けばあたしと同じ19.

「もうできるよ?」

「ムリ」

「レベル19 JobQuest

「ワタシ トテモ ヨワイ  ムリ」

そうしょぼくれる。DEは怖い、そんなイメージが島にいる間についていたが

今、この目の前にいる少女は明らかに違っていた。

そしてこのときこの場にいた全員が中華だと思い込んでいた彼女が

全く違う国のDEだと分かるのは1年以上後の事になる。

 

未来まで続く出会い