転職開始!
〜一人目の協力者〜

コンコン

「・・・?」

コンコンコン

「・・・らぁーざくん〜?」

コンコンコンコン

「らざくん入っちゃうよー?」

数回のノックにも反応はなく、そろーっとドアを開ける。

中に入るとベッドがもぞもぞ動いている。

「・・・?よいしょ。」

ベッドの横にしゃがみこみ、じーっと寝顔を眺めてみる。

「らざくんやーい。」

全く起きる気配はない。

つんつん

ほっぺたをつっついてみる。わずかに反応したがすぐにまた寝息を立て始めてしまう。

『どうしよ・・・・。』

昨日の夕方本土につき、グルーディン村を軽く案内してもらった後、

食事をすませこの宿屋までつれてきてもらったわけだが、今日はあたしの転職を手伝って

くれる約束だった。

が、とうのラザくんはお疲れの様子で全く起きる様子がないわけで。

『よし。』

立ち上がり枕もとのメモ帳に何か書き、ラザくんの頭をぽんぽんと叩いてから部屋を出る。

「一人でやってみよう!」

その後、昼近くに起きたラザ君がこのメモを見て固まったのは言うまでもない。

 

 

「おはよぉございますぅ〜」

グルーディン村の神殿へと入ると島の大神官さんの言っていたパリナさんは

すぐに見つかった。

紹介状を渡すとそれを読んでからあたしの顔をじーっと見る。

「珍しい方もいるのですね・・・事情は分かりました。特例ではありますが

ウィザードになる為の試練を説明しましょう。」

「はい!」

「エルフの方だと本来水の意思を学ぶべきなのでしょうが・・・エルフ村も

承諾していると言うことですし、ヒューマンWIZと同じ様にまずは炎の精霊を尋ねて

ください。」

この時点でメモをとりながらやるべきだった。

ものの見事に最初からあたしは行き先を間違えることになる。

 

「えーと何の廃墟だっけかな。」

そう言いながら地図を広げて歩く。

「んー・・・こっちかな、近いしこっちから行ってみよう。」

この時点であたしは悲嘆の廃墟へと歩きだした。

ちなみに、パリナさんが最初に行けと言ったのは絶望の廃墟である。

「この辺だよな・・・入り口とかないのか・・・・・な。」

悲嘆の入り口、崩れた門のような場所を見つけて固まる。

「・・・・いやぁ・・・・・っ」

ボロボロの入り口。その向こうに見えるのはゾンビ。

どこからともなく聞こえる怪しい叫び声、うめき声、とどめにお天気のいい午前中なのに

そこだけやたらに暗い!

「ここ・・・探すのぉ・・・・・?」

ラザ君が起きるのを待てばよかったと心底思いつつ、半泣きでも今更後には引けるかと

ソロソロと入り口へと足を進める。

中は以外にも多くの冒険者がいて、少しほっとする。わさわさといるスケルトン達は

その場の冒険者たちが片付けてくれているのでなんとか進めそうだと思い

再び歩き出す。

「すみませーん、ここにサラマンダーって炎の精霊さん住んでるって聞いたんですけど

どなたか知りませんか?」

そう声をかけると数名の冒険者が手を止めたが顔を見合わせて首を傾げる。

「いたっけ・・・そんなの・・・。」

「いや・・・アーススネイクならいたけど・・・。」

「そうですか・・・ありがとうございました!」

そう言って頭を下げてもう少し奥かと進み始めた。まだこの時点で自分の間違いに

気づかす、奥へ奥へと足を進める。

・・・・・・が。

「いやああああああああああああああああああああああ!!!!

こないでえええええええええええええええええええええ(TOT)

通りすがっただけなのに、猛烈な勢いで剣を振り回す半透明のスケルトンに追われ

マジ泣き状態で逃げまくる。戦うなんて選択肢は全く思いつかず一人パニックで

走る。  すると向かい側にもなんだか強そうな緑のおっきいのがいて

『挟まれたし!もう無理ぃっ(ToT)

と思って座り込んだ。が、しかしまだあたしは生きていた。

緑のおっきいのはあたしを追ってきた半透明スケルトンに剣を振り回し

あっという間に倒すとあたしを見下ろした。

「大丈夫かい?お嬢ちゃん」

「い・・・い・・・・」

「どうした?怪我でもしたか、回復薬を・・・。」

「いやあああああああああっしゃべったああああああああああああああああ!!!!」

あたしは再び走り出す。

「え・・・おい!そっちは危ない・・・」

「きゃああああああああああああああああ」

そして再びスケルトンを引っ掛けてしまう。

あげく物の見事に倒れた柱につまずいて転ぶ。

「うぅ・・・あぅぇい・・・」

ボロボロ泣きまくるあたしに襲ってきた骨たちを、先ほどの緑のおっきいのが

雄たけびを上げながら切り倒し、腰の抜けたあたしの正面に立つ。

「・ ・ ・しゃべったって・・・お嬢ちゃんもしかしてオークを知らないのか・・?」

「ヒクっオークって・・ヒクっ島にもいた・・・」

「違う!!!」

「うわあああああん」